[2022-03-11]
今の世界的な出来事は、ロシアのウクライナ侵攻でしょう。まず、戦争に関しては、ほとんどの場合、株式市場には序盤にしか影響を与えず、すぐに回復します。ですので、投資家はあまり心配する必要はないでしょう。この出来事が、今後の投資にどのような影響を与えるかについて、もう少し詳しく私の考えを述べたいと思います。
NATOがその名の通り、No Action Talk Onlyのままであれば、今後数年は、反西側諸国が今後も問題を起こし続けると思われます。ウクライナは個別の事件ではなく、国や地域の勢力図の塗り替えが、再び計画されるでしょう。
この戦争が投資の世界に与える最大の影響は、現在米ドルの上に築かれている金融システムの地位であり、今まさに段階的な挑戦となっています。ロシアによるウクライナ侵攻を受け、米国と欧州の同盟国が長らく行動を取らなければ、欧米の支援に依存する小国や地域が危険にさらされると考えられます。
もちろん、ウクライナとロシアの戦争は個別の地域的な政治事件だとする人は多いですが、アンチ西側同盟諸国がさらに圧力をかければ、NATOはジレンマに陥ると考えられます。NATOが不参戦を続ければ、その同盟関係は次々と崩壊するでしょう。NATOが参戦すれば、その時世界はまた新たな境地へ、そしてまた新たな経済的コストの問題に陥ることになります。
まず、戦争が長引くと、NATO加盟国はどうやって軍事費を捻出するのでしょうか。 新型コロナウイルスが、この2年間ですでに経済を大きくダメージを与えています。加えて、中国製造業の締め出しとロシアからのエネルギー輸入遮断により、大幅なインフレが起きています。メンバー各国は自国経済を救う資金にも欠くかもしれずに、他の同盟国を救う戦争に資金を使うことができるでしょうか。
第二に、NATOが大勝すれば、経済再建のチャンスはあるでしょう。(確かに簡単にはいかないでしょうが、NATOに果敢に挑戦する国は覚悟を決めてきていることでしょう)しかし、NATO諸国が不幸にも破綻するか敗れれば、世界的な新しい経済リーダーが出現することになります。その時には、米ドルや米国債、あるいはユーロや欧州債を保有して、どうするのでしょうか?もちろん、新しい経済リーダーの通貨と国債を買えば良いのです!
もちろん、NATOがロシアなどのアンチNATOの同盟国に制裁を加えるという意見もあるでしょう。しかし、実際の効果は誰の目にも明らかです。米国の金融システムであるSWIFTでさえ、ロシアが二度と戻ってこないことを恐れて、あえてロシアを排除していません。世界では徐々に別の金融プラットフォームが確立され、米ドルの金融的地位がさらに危うくなることを恐れているのです。
今、投資家ができることは、我々の現在の戦略のように、半分ずつ米ドル市場と米ドル以外の市場に依拠する長期投資ポートフォリオを構築することです。戦争は始まったばかりで、短期的には相互の勝敗がつくかもしれません。投資ポートフォリオの変動が大きくなる可能性があるため、あまりに早い段階で片側のみを買うことは決してお勧めできません。いつでもすぐに利益を失う可能性があるのですから、利益を確保しておくことで、平穏な生活が送れるようになるのです。
リッキー・ガン、 CFA
テンガード CEO