[2020-10-03]
信託を知ったばかりの多くのお客様は、最初にこれが投資スキームだと思い込んでしまうケースが多く、さらには脱税や債務回避のためのツールだと思い込んでしまうお客様も少なくありません。
実際、信託は様々な方法で宣伝されていますし、より多くの顧客を獲得するために信託を神格化している宣伝文句も多くあります。
ここで、信託の謎を解き明かしましょう。
実際には、受託者は委託者から独立しており、信託も委託者から独立しているので、厳密に言えば、受託者は委託者の従業員とはなりえません。 なぜなら、信託の設定後は、受託者は委託者の意思によって設定された信託契約の指示に従うため、それぞれの行為が受益者の利益のためであることを考慮することが適切となるからです。最も極端なケースで言えば、信託契約の条項や受益者の利益に反する可能性があれば、受託者は、信託の運営と受益者の最終利益を守るため、変更された指示の実行を拒否すべきとなります。
受託者が独立した存在であり、委託者や受益者から制約されないとしても、受託者が信託の条件を効果的に履行せず、受益者の利益を保護しない場合には、委託者や受益者は受託者に対して苦情を申し立てることができます。 状況が改善されない場合には、委託者は、受託者の変更や信託の解除を請求することもできます。
多くのお客様が、信託は独立単体の存在であり、信託の中に資産を隠すことは簡単だと考えています。 しかし実際には、テロ対策やマネーロンダリング規制の実施、租税条約等に基づく情報交換の連携により、信託を設定して資産を移転する際には、信託会社は資産の質だけでなく、委託者の経歴も審査しなければなりません。 信託が設定された後も、受託者は関連する資産の規制調査や報告に対応しなければならないので、身元を隠す機能は言われているほど高くはありません。
「信託」と耳にすると、多くの依頼者が租税回避を思い浮かべます。実際、多くのプロの税理士が、信託を使って顧客の税務管理を行い、顧客の税負担を軽減するために信託の特徴を利用するケースがあります。 しかし、多くの一般的な人々は、信託で脱税できると考えるべきではありません。実際に多くの信託が、税金報告や税金支払いを要します。あくまで専門的なアレンジを介すことで、顧客は最終的な税金が軽減できているだけなのです。
信託は法的に債務回避に利用できるという話を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。失敗した事業主の多くは、破綻する前にオフショア信託に資産を移してしまうことがあります。 厳密には、債権者がこのような動きをしたことが発覚した場合、確実に回収対象となり、受託者は委託者の債務を返済するために信託を解散せざるを得ない場合があります。しかし、信託の設定期間が長く、委託者から完全に独立している場合には、債権者が信託財産を回収する手段はありません。このため、会計士や受託者は、長期的にご自身やご家族を守るため、早めに信託を設定するようにお客様へおすすめするケースがよくあります。